「高速道路の案内標識の文字デザイン」(「高速道路と自動車」第49巻第8号)によると、現行書体に代わる書体として、
が選定されたということである。最近はキロポストに、このVialogを用いたものが登場している。そこで、現行のレイアウトと、新規格の比率等から、想定される標識デザインを組んでみた。
今回の選定にあたって、以下の候補の中から選ばれたという。
和文 | 欧文 | 数字 |
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和文に関しては、この検証後にイワタUDゴシックが登場しており、間に合っていれば候補に入るべき書体であったことが悔やまれる。もっとも、今回の検証では先端部の処理にも言及があり、結局ヒラギノ角ゴに決まった可能性が高いのだが。
欧文について、そもそも、HelveticaクローンのSwissや、UniversクローンのZurichも同時に検証している意味不明さ、かつCondensedをことごとく"condenced"と表記するtypoを犯している点が、欧文書体の心得の無さを感じさせている。それに輪をかけるように、ドイツで実績のあるDINやスイスで使用されているFrutiger(今回の用途であればそのCondensed)をなぜ候補に入れなかったのか疑問に残る。
今回組んでみて、視認性にばかり目を奪われた結果、日本の組版的にはいまいちな点が発見された。Vialogは大文字の"J"がベースラインからディゼンダに出ている(つまり大文字を並べるとJだけ下にはみ出す)のである。これは、JCTという文字を組んでみて露呈した。何と、Jが下にはみ出すのは候補中Vialogだけなのである。ほとんどの欧文は、大文字がベースラインにそろっており、和欧混植を容易にしている。日本で文字を組む限り、ディゼンダにはみ出す欧文を選択するというのは、はっきり言って、間抜けとしか言いようが無い。
結局、最初に結論ありきの出来レースだったのではと疑ってしまうのである。このままでは、多少の視認性は確保されるにしろ、お世辞にもデザインセンスの優れた標識とは仕上がらないことだろう。
2007.11.12 初版